読書メモ『痛くない死に方』

在宅医療

『痛くない死に方』長尾和宏 ブックマン社(2016)

『痛くない死に方』長尾和宏著

「痛くない死」とは、在宅療養を経た後にやってくる「平穏死」のことを言います。著者の長尾先生は、国民のおよそ8割が病院で亡くなっている現代、在宅医療と在宅死を当たり前にしたいと考えます。具体的にどうすればそれは可能なのか。長尾先生が掲げる10の条件をまとめると以下の通りです。

  1. 現代日本の終末期医療の現状を知る(平穏死は簡単ではない)
  2. 訪問医療だけでなく往診対応も可能な在宅医を見つける
  3. 死後の準備をする
  4. 介護施設を選ぶ場合は看取り対応可能な施設を選ぶ
  5. リビングウイル(尊厳死に関わる自分の意思)を文書で用意する
  6. 身体を鍛える(転倒による骨折予防)
  7. すぐに腹水や胸水を抜かない
  8. 緩和ケアは積極的に使う
  9. 救急車は安易に呼ばない
  10. 平穏死を事件化しない・されない(医師法20条の正しい理解)

要するにこういうことです。病院で死ぬことがデフォルトになっている現在、平穏死は容易でななく、定期的な訪問医療だけでなく、患者の容態応じて往診と看取りができる在宅医を見つけないと難しい。患者自身にもそれなりの準備と覚悟が必要で、自分の死後をイメージし、どのように最期を迎えたいかを考え、書き残しておくことが求められる。最期を迎える際には、積極的な延命治療を行わず、緩和ケアだけはしっかり行い、枯れるように平穏な死を迎える。

こうしてみると平穏死のハードルは結構高く、条件の1から2をクリアしなければその先一歩も進めなさそうです。つまり、在宅での平穏死は、終末医療に詳しく往診可能な在宅医に出会えるかどうかにかかっているといえそうです。団塊世代が後期高齢期に突入し、多死時代を迎えるといわれる昨今、そのような医師に巡り会うなんていうラッキーなことが果たして可能なんでしょうか。考えただけで気分が沈みそうになりますが、とりあえず、そのような在宅医に会うことはできます。映画で。

本書を映画化した『痛くない死に方』と、長尾先生の在宅医としての日常を追ったドキュメンタリー『けったいな町医者』が2021年2月にほぼ同時に公開されたようです。コロナ禍で映画館での映画鑑賞は控えてきましたが、ネット配信まで待てない。すぐにでも観たいです。

『痛くない死に方』https://itakunaishinikata.com/

『けったいな町医者』https://itakunaishinikata.com/kettainamachiisha/

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